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塩とにがりにはどんな関係がある?海水を煮詰めて取り出す方法もご紹介

普段何気なく食べている塩ですが、もともと塩は海水を煮詰めて作られていました。また、豆腐を作るときに使われる「にがり」も海水に含まれていることはご存知でしょうか。本記事では、塩とにがりの関係性やにがりの成分、海水を煮詰めて塩とにがりを取り出す方法についてご紹介します。

塩とにがり

私たちが普段食べている塩には2種類あり、大まかに精製塩と粗塩に分けられます。

  • ・精製塩(食塩)…99%以上が塩化ナトリウム。純度が高く、調味料として広く使われている。
  • ・粗塩(天然塩、自然塩)…90%が塩化ナトリウムで、残りの成分は海水に含まれるミネラル分。海水を煮詰めたり天日で乾かしたりする昔ながらの製法で作られている。

一方、にがりとは海水から塩を取った後に残る液体のことです。ミネラル分が豊富に含まれ、そのまま舐めると苦味を強く感じることから「にがり」と呼ばれていて、漢字では「苦汁」と書きます。海水を煮詰めたり、天日で乾かしたりして作る粗塩の場合、にがりに含まれるさまざまなミネラル分が塩にもくっついて残るため、精製塩と比べてミネラル分が多く含まれています

にがりはミネラル分の宝庫!

海水から塩を取り出す過程で残る「にがり」のことは「母液」とも呼ばれます。にがり、すなわち母液の主成分はマグネシウムですが、他にもカルシウム、カリウム、亜鉛、鉄、リンなど数十種類のミネラルが含まれていることがわかっています。海水を舐めると、塩辛さとともに若干の苦味を感じるのはこれらのミネラル分によるものです。

にがりは摂りすぎると身体に悪いと言われることがありますが、それは通常の食生活よりもはるかに多い量を摂取しすぎてミネラル分の過剰摂取になった場合や、もともと腎臓の機能が弱っている人は注意する必要がある、というものです。決してにがりが身体に悪いわけではありません。もちろん、塩に含まれる程度のごく少量のにがりで摂りすぎることはありませんので、安心して食べましょう。

生命維持に欠かせないミネラル分


海水に含まれるミネラルは、人間の体を構成する五大栄養素の一つで、日本語で「無機質」と呼ばれることもあります。ミネラルは体内でさまざまな働きをしていますが、体内で合成することができないため、食べ物や飲み物から摂取しなくてはなりません。不足すると、さまざまな不調や欠乏症を引き起こすこともあります。代表的なものに、鉄欠乏症である貧血が挙げられます。

にがりの主成分であるマグネシウムは、体内でたんぱく質を合成したり、筋肉や神経の機能に関わったりと、生命維持に必要なさまざまな反応を司る、600種類を超える酵素の働きをサポートしています。代表的なものとして、カルシウムとともに骨や歯を形成したり、神経の興奮を抑えてリラックスした精神状態を保ったりする働きがあります。

マグネシウムの働きについては、以下の記事もあわせてご覧ください。

塩の味はにがりが決める!?

塩の味を決める要因の一つに、にがりがあるとされています。塩の味について、詳しく見ていきましょう。

塩の味を決める要因①:にがり

前述のように、にがりは舐めると強い苦味を感じます。これは、にがりに含まれるミネラル分によるものです。粗塩の場合、海水を煮詰めたり天日で乾かしたりして作るため、にがりに含まれるさまざまなミネラル分が塩にくっついて残ります。すると、塩化ナトリウムの塩辛さをにがりが和らげてくれ、味に深みやコクをもたらします。にがりの多い塩は深くコクのある味に、にがりの少ない塩は直接的な塩辛い味になるのです。

塩の味を決める要因②:粒の大きさと形

塩の味を決めるもう一つの要因として、粒の大きさと形があります。粒が大きく、形がきれいな塩ほど口の中でゆっくりと溶けるため、まろやかな味だと感じます。一方、粒が小さく形が複雑な塩ほど口の中で素早く溶けるため、強い塩味を感じるのです。また、フレーク塩のように複雑な形をしていて面積が広い塩の場合、小さい粒と同じように素早く溶けることから、塩味を強く感じやすい傾向にあります。

海水から塩とにがりを取り出すやり方


海水から塩とにがりを取り出すには、海水を煮詰めるのが最も簡単です。手順は以下の通りです。

  • 1.海水をコーヒーフィルターで濾す。
  • 2.濾した海水を鍋に入れ、量が半分くらいになるまで煮詰める。
  • 3.煮詰めた海水をコーヒーフィルターで濾す。
  • 4.さらに海水を煮詰めていく。このとき、塩の結晶のようなものが見えてきたら特に弱火にする。
  • 5.どろどろになったら、コーヒーフィルターで濾すと塩とにがりに分離できる。
  • 6.常温になるまで冷ます。

コーヒーフィルターで濾して残った個体部分が塩、濾された液体がにがりです。塩はさらに余分な水分を飛ばすため、フライパンで焼いても構いません。にがりは豆腐づくりに利用しても良いですし、普段の食事に混ぜても良いでしょう。

にがりで豆腐を作る方法は、以下の記事でご紹介しています。あわせてご覧ください。

まとめ

塩とにがりはどちらも海水から取り出せるもので、海水を煮詰めて作った粗塩にはにがりの成分であるミネラル分が豊富に残っています。ミネラル分は生命維持に欠かせないもので、不足すると身体のさまざまな不調を引き起こしてしまうため、にがりで補うのは効果的です。ぜひ、ミネラル分たっぷりの天然塩を味わってみてはいかがでしょうか。

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