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女性の気分を改善するエクササイズの効果を、研究結果から考察

長引くコロナ禍の中では、心配ごとや不安が尽きないもの。心配事や不安がストレスとなり、体調を崩してしまうこともあります。精神的な不調を落ち着かせるには色々な方法がありますが、エクササイズすることで解消できるかもしれません。今回は、エクササイズによって女性の気分が改善するという研究結果に加え、どんな気分のときにどんなエクササイズを行えば良いかも合わせてご紹介します。

心を落ち着かせるためのエクササイズ

ストレスが溜まりがちなときは、気分を落ち着かせたり溜まったストレスを解消したりする方法が重要です。好きな映画を見たり音楽を聴いたり、おいしい物を食べたり、友達と外出したりするなどすると、ストレス解消になるでしょう。しかし、コロナ禍で行動に自粛が求められている現状、このようなストレス解消法には限りがあります

そこで、一人で行うエクササイズがおすすめです。エクササイズには気分を改善したり、気持ちを盛り上げたり、精神的なストレスや心配を解消したりする効果が期待できます。うつ症状の治療を助けるためにも、エクササイズが活用されているほどです。

エクササイズは本当に心の健康に有効?

エクササイズが本当に心の健康に有効なのか、研究結果から見ていきましょう。

エクササイズの習慣があると、精神的な負担が少ない

アメリカ人を対象にした100万人規模のこれまでの調査(2018年)によると、習慣的にエクササイズを行っている人では、そうでない人と比較して、ひと月の中で精神的な負担を感じた日数が有意に少ないことが示されています。これは、エクササイズを日常的に行うことで、比較的、精神的な負担を軽減しながら日々を過ごせた、という意味だと考えられます。

どんなエクササイズをすればいい?

エクササイズのタイプとしては、チームスポーツ、サイクリング、ジムエクササイズ、ランニングの順で有効性が高かったようです。とは言っても、エクササイズすればするほどよいというわけではなく、エクササイズの有効性は「1回あたり30~60分間、週に3~5回行っている人」で最も高く、「1回あたり90分間以上、週に6回以上行っている人」でかえって精神的な負担が大きくなることも示されています。エクササイズのやり過ぎには、くれぐれも注意しましょう。

この調査からは「1回あたり30~60分間、週に3~5回のエクササイズ」が最も心の健康に有効と考えられますが、例えばもっと簡単なエクササイズ(たとえばウォーキングやストレッチングなど)、あるいは呼吸法や瞑想などであっても、1回10分程度行うだけでも効果が期待できるでしょう。長期的な視点で気分の改善を考えたいなら、こうしたエクササイズ習慣を持つのがおすすめです。

エクササイズを通じ、交流が生まれるところもポイント


エクササイズを通じた人との交流やフレンドシップによって、気持ちが豊かになり楽しい気分になることも見逃せない重要なポイントです。ソーシャルディスタンス、非接触が求められる昨今では難しいところもありますが、SNSなどを使ったオンライン交流やアプリなどを使えば、接触せずとも人と交流できます

自宅にいながらオンラインを通じて行える、パーソナルエクササイズやグループエクササイズも積極的に活用したいところです。エクササイズを継続することで減量や健康改善、体力向上につながれば、それ自体も気分をよくし喜びをもたらし、また自信を回復し、さまざまな不安を解消してくれるでしょう

気分や状態別、エクササイズの選び方

では、どんな時にどんなエクササイズを行うのがよいのでしょうか。私たちはいつも心が落ち着いていて気分がよく、何事にも楽しく積極的に集中して取り組みたいと思うものですが、実際には怒ったりいらついたり、焦ったり落ち着かなかったり、不安に思ったり悲しんだりと、思うようには心をコントロールすることができません

上記の調査報告では、チームスポーツ、サイクリング、ジムエクササイズ、ランニングの順で精神的な負担の軽減に有効だったことが示されていますが、さまざまな心や精神の動揺にふさわしいエクササイズのタイプはあるのでしょうか。

落ち着かない、気持ちが焦っている

なんとなく落ち着かない、気持ちが焦っている、というときは、長い時間のエクササイズより短時間で終えられるエクササイズを行うとよいでしょう。10分程度で終わるストレッチングや今流行りの高強度インターバルトレーニング(HIIT)などがおすすめです。

自分に確信が持てない、不安を抱えている

自重を使った筋力トレーニングがよさそうです。自重を使うことで自分自身を見つめ直すきっかけになりますし、トレーニング後はその達成感が自信につながります。

心配ごとがある


心配ごとがあるときは、ヨガや瞑想などで心と体のエクササイズを同時に行うのが役立ちそうです。後先のことをあれやこれやと考えるのではなく、「今のこの一瞬」に意識を置くことで、不安や心配が軽減されるでしょう。孤独を感じる時は、グループで行うヨガのクラスなどに参加するのもおすすめです。

疲労感がある

疲れているときは、無理にエクササイズをする必要はありません。軽いストレッチングや、呼吸法を用いた瞑想などがよいでしょう。落ち込んだり、気分が滅入っていたりするなら、外で景色を見ながら行うウォーキングもおすすめです。できれば、静かな早朝に行うとストレスが軽減されるでしょう。

その他、注意点

キックボクシングや、DVDやYoutubeなどを見ながら行うシャドーボクシングは怒りの軽減に、サイクリングで爽快感を味わうことは精神的なストレス発散になります。ランニングは「ランナーズハイ」という言葉があるように、脳内に快楽ホルモンが分泌されることで辛さや悲しみを軽減し、気分が晴れやかになり、物事を前向きにとらえられるようになります

もっとも、どのエクササイズを行ってもある程度の効果は期待できるでしょう。ただ、むやみに過剰なエクササイズを行うことは厳禁ですし、義務的に行うことも避けたほうがよいでしょう。フィジカルなトレーニングというよりも、気分やメンタル面での改善を狙いとするのであれば、長続きさせるためにも適度に行うことがコツです。少々物足りないぐらいがちょうどよい場合もありますので、まずは軽い気持ちで、好みにあったエクササイズを選んで始めてみましょう。

まとめ

心配ごとや不安からストレスを抱えやすいときは、気分を落ち着かせたり溜まったストレスを解消したりすることが重要です。コロナ禍などで外出や人と会うのが難しい中、自宅で一人でもできるエクササイズはストレス解消や気分の改善におすすめ。各種研究結果からも、エクササイズが精神的な負担を軽減することがわかっています。やりすぎや義務化で余計にストレスが溜まらないよう、好みに合ったエクササイズを適度に行いましょう。

監修者プロフィール

彦井浩孝NPO法人チャレンジ・アスリート・ ファンデーション理事長
彦井浩孝NPO法人チャレンジ・アスリート・ ファンデーション理事長

スポーツ栄養学の観点からも、運動やスポーツにおけるマグネシウムの働きには注目すべきところが多くあります。にがりを水や飲料に薄めて使用することで、スポーツや運動を楽しむ方が日常から手軽に海からの自然なマグネシウムを摂取することができます。

【プロフィール】
オレゴン州立大学健康人間科学研究科博士課程修了。博士(Ph.D.)。NPO法人チャレンジ・アスリート・ファンデーション理事長。横浜市病院協会看護専門学校非常勤講師。
専門は運動生理学・栄養学・トレーニング学。トライアスロン歴32年。

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