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朝食を抜くと太るって本当?健康的な食生活で美ボディにアプローチ!

朝はなかなか起きられない、忙しいなどの理由で、朝食を摂らない人もたくさんいます。しかし、朝食を抜くと、朝食をきちんと食べる人に比べて太りやすいと言われていることをご存知でしょうか。朝食をきちんと摂るほかにも、食生活を見直すと無理せずエネルギー消費量をアップできます。ぜひ、健康的な方法で美ボディにアプローチしましょう。

朝食を摂らないのは身体に悪い?

忙しい現代社会、出勤前の慌ただしい朝には朝食をつい抜いてしまったり、不十分になってしまったりすることがよくあります。ダイエットのため、意図的に朝食を抜く人も多いです。

しかし、朝食は1日のスタートにおける大事なエネルギー・栄養補給の機会であり、朝食を抜いてしまうと、前日の夜から昼食時まで「飢餓状態」となってしまいます。つまり、朝食を抜いてしまうと多くの人は12時間以上飢餓状態が続くため、午前中の仕事や学業の効率が下がると考えられるのです。

日本人は若い世代ほど朝食を摂らない

厚生労働省の調査によれば、朝食の欠食率は男性全体で15.0%、女性では10.2%。その割合は男女ともに20歳代で最も高く、男性で30.6%、女性で23.6%とされています。女性の欠食率は、30歳代15.1%、40歳代15.3%、50歳代11.4%となっています。
平成29年 国民健康・栄養調査結果より

さらに、朝食を抜く男性で血圧が高く、朝食を抜く女性では血清総コレステロール値が高いことや、朝食を抜くことと疲労の関係が指摘される研究もあります(Osakoら・2005年、Sakataら・2001年)。つまり、社会人になりたてなどで最もエネルギーを必要としている20代の男女が最も疲労しやすく、高血圧や高コレステロールになりやすいと考えられるのです。

朝食を抜くと、エネルギー消費量が減る!

Lopez-Minguezらのレビュー研究(2019年)では、以下のようなことがわかっています。

  • ・朝食が遅いなどの理由でランチを摂るのが午後3時以降になる人では、それまでに摂る人より安静時のエネルギー消費量が低い。
  • ・ランチを摂るのが午後3時以降になる人では、腸内環境に影響を受けやすい。
  • ・朝食をしっかり摂り夕食を比較的抑える人では、同じカロリー摂取量でも、逆のパターンの人より減量しやすい。
  • ・朝食抜きの人では、栄養不足、運動不足などの生活習慣への影響が見られ、また、体格指数(BMI)、腹囲、LDLコレステロールなどの数値が高い傾向にある。
  • ・朝食抜きの人では、カロリー、脂肪、コレステロールの摂取量が多く、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの摂取量が少ない傾向にある。
  • ・就寝2時間前に夕食を摂る人では、糖耐性が低く(血糖値が高い)、肥満しやすい傾向にある。
  • ・起床後2時間内に朝食を摂る人では、そうでない人と比較して、肥満になる可能性が50%低い。

朝食が遅くてランチを摂るのが午後3時以降になる人というのは、前章でご紹介したように飢餓状態が長く、身体がエネルギー消費量を抑えてなんとか活動しようとしていると考えられます。つまり、朝食をしっかり摂取し、その分、夕食を控えめにした方が逆パターンの人よりも日中で活発に活動している時間のエネルギー消費量が多いため、減量しやすいと推測されるのです。

また、朝食や夕食を摂取する時間にも注意すると肥満予防になる、ということもこの研究から考えられます。

朝食を摂っている人はBMIが低い!?

前述の研究からわかるように、朝食を摂る人のほうが摂らない人と比較して一日のエネルギー摂取量は高くなる傾向にあるものの、総じて体重や体格指数(BMI)は朝食を摂る人のほうが低くなる傾向があります。

この理由として、朝食を摂る人の運動習慣や規則正しい食習慣などの健康志向が反映されている可能性(Songら、2005年)が指摘されています。過去にも多くの研究報告で同様の結果が示されている(Redondoら、1996年、Choら、2003年、Affenitoら、2005年、Bazzanoら、2005年)ことから、健康志向が朝食の摂取とBMIの低下に影響している可能性は高そうです。

また、BMI値が高い人の朝食は少量でバリエーションに乏しく、朝食にかける時間も少ない傾向(Redondoら、1996年)にあります。朝食を摂取しない人は前述のようにカロリー・脂質・コレステロールの摂取量が多く、ビタミン・ミネラル・食物繊維が少ないことも、体重やBMIに影響していると考えられます。

朝食の内容も見直して、健康的に美ボディをつくろう

ここまでご紹介してきたように、朝食を摂るという習慣は体重管理に非常に有効だとわかります。単なる健康志向の一環としてだけではなく、食欲や一日のエネルギー摂取量と消費量との関係からも、朝食を摂取することは重要だと推察できます。さらに健康的な美ボディを手に入れるためには、朝食の内容も見直すと良いでしょう。

朝食にシリアルを食べる習慣のあるアメリカでの研究(Bazzanoら、2005年)では、朝食にシリアルを食べている人では、それ以外の朝食を摂っている人と比較して、年齢や運動習慣、喫煙などにかかわらず、およそ10年間にわたって体重が低い傾向にありました。

また、Bonnetらのレビュー研究(2020年)では「たんぱく質の豊富な朝食は、食欲を安定させて食後のエネルギー消費量を高めること、朝食に食物繊維が豊富に含まれることが肥満予防に関連すること」が指摘されています。

さらに、Williamsのレビュー研究(2014年)によれば「習慣的にシリアルを朝食で摂ることは体重を抑えることに役立ち、過体重や肥満の予防になること、全粒粉や食物繊維が豊富なシリアルの朝食は、糖尿病、高血圧、心疾患のリスクを抑えること、シリアルは、ビタミンやミネラル、抗酸化物質や食物繊維の摂取源として有効であること」などもわかりました。

これらの研究結果をまとめると、健康的な美ボディをつくるためには「シリアル+高タンパク」の朝食がおすすめだと考えられます。実際に、彦井先生は30年近く、オートミール、グラノラ、小麦胚芽などのシリアルとバナナ、ヨーグルトなどをミックスさせた朝食を摂っており、「パワーブレックファスト」と呼んでその有効性を実感しているそうです。

シリアルと高タンパクの朝食で、健康美ボディをつくろう

忙しい現代日本では、特に若い世代ほど朝食を摂らない傾向にありますが、これは血圧や血中コレステロールのほか、1日のエネルギー消費量にも影響する可能性があります。朝食の内容も、シリアルと高タンパクにすると生活習慣病や肥満の予防に効果的です。ぜひ、健康的に美ボディをつくりましょう。

監修者プロフィール

彦井浩孝NPO法人チャレンジ・アスリート・ ファンデーション理事長
彦井浩孝NPO法人チャレンジ・アスリート・ ファンデーション理事長

スポーツ栄養学の観点からも、運動やスポーツにおけるマグネシウムの働きには注目すべきところが多くあります。にがりを水や飲料に薄めて使用することで、スポーツや運動を楽しむ方が日常から手軽に海からの自然なマグネシウムを摂取することができます。

【プロフィール】
オレゴン州立大学健康人間科学研究科博士課程修了。博士(Ph.D.)。NPO法人チャレンジ・アスリート・ファンデーション理事長。横浜市病院協会看護専門学校非常勤講師。
専門は運動生理学・栄養学・トレーニング学。トライアスロン歴32年。

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