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体温を上げて免疫力UP!スキマ時間のヨガで血流を良くしよう<中級編>

人間の体温は約36〜37℃に調整され、36.5℃より低ければ低体温と考えられるようです。すると「免疫力が落ちる」「代謝が落ちる」などの他、不眠・便秘・肥満・花粉症などが低体温の弊害として現れることも。 そこで、ヨガで血流を良くし、体温と一緒に免疫力をUPしましょう。今回は、前回ご紹介した<初級>から、全身の巡りをより活性化できるように<中級>のヨガを紹介します。

ヨガを行う前に、コツと注意したいポイント

体の使っていない箇所を目覚めさせ、使いすぎている箇所はゆるめる気持ちで、自然に呼吸しましょう!

ヨガは陰陽のバランスをとるためのメソッドであり、医学ではありません。自分の責任の範囲で行いましょう。その際「体の使っていない箇所を目覚めさせ、使いすぎている箇所はゆるめる」という意識でポーズを取ります。全身の筋肉・骨格・呼吸・体温・血液循環など、全体のバランスが整えば自然と免疫力が高まり、プロポーションも整います。

肩・手首・膝・腰などが痛い時は無理をせず曲げ、弱いところに合わせてチカラを調整しましょう。息が止まっていたり、歯を食いしばっていたりすることに気づいたときは、ポーズを緩めてください。特に、呼吸は自律神経と直接つながっていますので、カラダに委ねて自然な呼吸を心がけましょう。鼻呼吸でも口呼吸でも構いません。

    ◎POINT

  • ・1日に2回、できれば空腹時に行いましょう。朝と晩の食事前に行うとより効果的です。
  • ・お腹を圧迫するので、妊娠中の方は避けましょう。お腹がポンプのように動いて、一気に内臓周辺の血流が強くなりますので、高血圧や心臓疾患などがある方も避けましょう。また、手術後など、お医者様に運動を控えてくださいと言われている方も避けてください。

ヨガでどんな効果が期待できるの?

褐色脂肪細胞を活性化させ、脂肪を燃焼!

体温と免疫力を上げるうえで、大事な役割を果たすのが「褐色脂肪細胞」「全身のリンパ節」の2つですが、ヨガで体を動かすとこれらの細胞や組織を活性化することができます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

褐色脂肪細胞ってどんな働きをするの?

褐色脂肪細胞は脇と背中にあり、食事で体温が上がっただけでも脂肪を燃焼させる特別な脂肪細胞です。肩甲骨や腕をよく動かすと、この褐色細胞が活性化します。肩甲骨は鎖骨を介して体幹と繫がっているのですが、肩甲骨そのものは背中から浮いたような状態です。

浮いた状態の肩甲骨を支えているのは大小さまざまな34もの筋肉で、背骨・肋骨・上腕・首のほか、骨盤などにも繋がっています。「肩甲骨は浮いていて、かなり自由に動く」という意識はとても大切なので、覚えておいてください。

リンパ節ってどんな働きをするの?

リンパ節は脇と背中(これは褐色脂肪細胞の場所と同じ)、さらに鎖骨、首、お腹、鼠蹊部と膝裏にあります。リンパ液は体の中を巡り、パトロール(免疫機能)とデトックス(余分な脂肪やたんぱく質、不要になった細胞などの老廃物を運搬、排出)を行いながら、心臓近くの鎖骨下静脈へ戻ってくるのです。

ですから、リンパ液が滞るのは大きな問題で、「浮腫(むくみ)」にもつながってしまいます。リンパ液をスムーズに循環させるためには、リンパ液を送り出すポンプである「筋肉」が重要。カラダを動かさずじっとしていたり、筋力が衰えていたりすると、リンパは重力に従ってどんどん下の方に滞ってしまいます。心地よく筋肉を動かし、どんどんリンパを循環させましょう!

【実践編】動画を見ながらヨガにチャレンジ!

<中級編>では、全身の巡りを活性化させるように組み立てました。<初級編>から進んできた方は、ぜひ無理をしないようチャレンジしてくださいね。

それでは、始めましょう。

各ポーズにはどんな意味があるの?

最後に、各ポーズのねらいや効果を詳しくご紹介します。

①カパラバティ

足を腰幅に開いて立ち、両手のひらを開いて斜め下方向に伸ばします。
胸が落ちないよう後ろに手を引き、同時に息を勢いよく吐き、素早くお腹を締めます。
吸う息は自然に任せます。鼻からでも口からでも構いません。
10〜20回やったら、リラックスしましょう。

カパラバティとは、サンスクリット語で「光り輝く頭蓋骨」という意味を持っています。脳内に酸素をたくさん送り込む、伝統的な浄化の呼吸です。血中の酸素濃度を上げ、心拍数と呼吸数を上げることで内臓周辺の血行を促進し、体温も上昇させます。素早く息を吐くことで横隔膜に付随する「脾臓」のマッサージ効果もあり、免疫力アップにつながります。

②ハーフムーンのバリエーション

今度は両手を前で合わせます。親指が下になるように内側にひっくり返し、指と指を結んでロックしてください。
肘を曲げて下を向き、手を頭の上に置きます。
その手を上に引き上げ、手首どうしを引き寄せます。体は正面に、目線は天井に向けましょう。
肩を楽にして、腰をわずかに右へプッシュします。息が止まらない範囲で行いましょう。

反対側も繰り返し、最後にもう一度手を上に引き上げ、骨盤を前にプッシュします。
目線は天井に向けたまま、左右に体を振り、終了です。

このポーズでは、脇・鎖骨のリンパマッサージと、肩甲骨の周辺をよく動かすことで体温と免疫力をUPします。

③鎖骨、わきリンパ、肩甲骨の動きの促進

肩を下げ、楽にします。
両手を肩に置き、手を離さないように肘を上にあげ、両耳の近くを通るように回します。
前から上へ3回、後ろから前に3回、肘同士を近づけるように動かします。

④鎖骨、わきリンパ、こめかみのリンパ、リラクセーション、肩甲骨褐色脂肪細胞活性化の促進

組んだ手を後頭部に当て、脇でしっかりとこめかみを圧迫します。
呼吸をしながら、手で頭を押します。頭は押し返す気持ちで。
目線は前方に向け、肩・顎は力まないようにしましょう。
緩めて、ほどきます。

⑤サンサルテーション

立ったまま、息を吸いながら両手を胸から開くように両手を天井へ向けます。
肩を緩めて、骨盤を前にプッシュし、一度戻しましょう。

遠くの椅子に座るように、腿のつけねから脚を曲げ、息を吐きながら膝を緩め、両手をまっすぐ床に下ろします。
両手は肩幅に広げ、足を後ろに2、3歩歩きます。
横から見ると、体全体がキレイな三角形(ダウンドッグ)になるようにしましょう。
足は腰幅に開きますが、かかとは上がっていて構いません。

目線は両手の間に向けたまま、遠くにつっぱるようにして坐骨を天井に向けます。
一度、膝を緩めて床につき、骨盤を動かします。

サンサルテーションは全身の活性化にもなり、中枢神経系等のバランスを整え、自律神経のバランスをとるヨガです。

⑥骨盤周辺の筋肉のストレッチ、お腹のリンパマッサージ、肩甲骨の動きの促進

サンサルテーションに続けて、背中を緩めておへそを見ます。
肩を下げて背中を丸くし、息を吐き、恥骨とおでこを近づけるように緩めます。
これを2回繰り返しましょう。
続いてつま先を立てて膝を上げ、先ほどの三角形になります。かかとは上がっていて構いません。

⑦鼠蹊部、膝裏など下半身のリンパマッサージ、肩甲骨周辺の動きを高める

続いて、足のストレッチです。
右ひざを曲げて戻し、左ひざも同じように曲げて戻します。これを数回繰り返しましょう。
息を止めないよう気をつけます。
坐骨を遠く天井の方へ持ち上げるようにしながら、ふくらはぎ・もも・お尻・腰が伸び縮みするのを意識します。
動きを止め、ダウンドッグになりましょう。

もう一度坐骨を遠く天井へ持ち上げたら、歩いて膝を緩め、気をつけの体勢に戻ります。
呼吸が落ち着くのを待って、鎖骨を両側に開きます。
吸う息で、胸から両腕を天井へ上げましょう。吐く息で体に戻します。
リラックスしましょう。

⑧ダヌラーサナ、弓のポーズ

うつ伏せになって、体を緩めましょう。お尻を左右に揺らします。
腰を楽にして、両ひざを曲げます。
両手を外側から回し、足首を持ちます。難しい方は、つま先を持ちましょう。
膝を開いて肩を下げ、あごを楽にします。きつい方は、手を離して行っても構いません。

弓のポーズは、鎖骨・わきリンパ・肩甲骨の動きを促進し、お腹・鼠径のリンパ・腎臓・副腎を刺激して免疫力をUPします。

⑨魚のポーズ

吸う息で上体を起こし、胸とのどを正面に向けます。
息を吐きながら足で手を引っ張り、恥骨からおへそでバランスをとります。
5秒そのままキープし、リラックスしましょう。
数回繰り返したら、お尻を左右に揺らします。

⑩マツヤアーサナ、魚のポーズのバリエーション

仰向けに寝て、両手は床に向けて伸ばし、お尻の下に敷き込みます。
肩を下げ、あごを天井に向けます。
天井から見ると、胴体だけが見えている形になるようにしましょう。
息を吸って胸を開き、吐く息で楽にしましょう。

魚のポーズは、胸を開いてリンパ球を放出します。鎖骨周辺のリンパを刺激し、抗うつの効果も期待できます。

⑪シャバアサナ

仰向けのまま、体がまっすぐになるようにもぞもぞと動かして、体を置きなおします。
手のひらは天井に向け、大の字になりましょう。
目を閉じて、このまま1分間ほど休みます。

シャバアサナでは、短時間で一気に全身の筋肉が緩みますので、心拍数・呼吸数・脳波を整えるほか、緊張がほぐれ、睡眠をつかさどるメラトニン、快感をつかさどるエンドルフィン、幸せホルモンと呼ばれるセロトニン、など大量の化学物質が分泌されます。さらに、ヨガのポーズなどのセルフマッサージにより、ストレスを和らげるオキシトシンも分泌されます。

ヨガと睡眠の関係性については、こちらの記事をご覧ください。

まとめ

ヨガでは、普段使っていない場所を動かし、普段使っている場所は休ませることを意識しながら血行を良くしていきます。呼吸は止めず、自然に息を吸って吐きましょう。このように体を動かすことで、褐色脂肪細胞が活性化し、全身のリンパ節を流す効果が期待できます。

今回は前回の初級編からボリュームアップし、全身を動かして体中の巡りを活性化する中級編のヨガをご紹介しました。初級編に慣れてきた方は、ぜひチャレンジしてみてください。

監修者プロフィール

やまもとゆきこヨガインストラクター/モデル
やまもとゆきこヨガインストラクター/モデル

ヨガインストラクター。AISO JapanのAccademiadellOlio認定、SOMMELIER DELL'OLIO。体験に基づいたオイルや精油(アロマオイル)の調合はなじみやすいと評判になっている。日本で初めてヨガとフード両面から健康を追求する「フードヨガ教室」を服部栄養料理研究会で実施した経験を持つ。食、ヨガ、メディカルアロマをバランスよく取り入れて、心身ともに健やかになるための活動をライフワークとする。
写真撮影:山口大輝

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