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ヨガの睡眠効果とは?睡眠不足の女性にはヨガがおすすめ

心身の健康に良いとして広く知られ、人気も高いヨガ。近年、ヨガの持つ睡眠効果が明らかになってきました。日本人は睡眠不足だとよく指摘されていますが、中でも女性は家事や育児に追われているだけでなく、ホルモンバランスの変化などでも睡眠の問題を抱えやすいようです。そこで、今回は睡眠の量だけでなく質を高めてくれるヨガの効果について解説します。

日本の女性は睡眠不足!?

厚生労働省が令和元年11月に実施した「国民健康・栄養調査」の結果によると、1日の睡眠時間が6時間未満の人の割合は、男性全体で37.5%、女性全体で40.6%となりました。男性よりも女性のほうが、睡眠時間が短い人は多いようです。

特に、女性を年齢別にみると、睡眠時間が6時間以下の人の割合は以下のようになりました。

  • ・30歳代…37.6%
  • ・40歳代…46.4%
  • ・50歳代…53.1%

この結果を見ると、40~50歳代では睡眠時間が6時間未満の人が半数前後いるとわかります。また、女性ホルモンの変化による影響もあり、もともと年齢に限らず、睡眠に問題のある人は男性より女性に多いとも言われています。睡眠障害は、女性にとって大きな健康問題の一つなのです。

必要な睡眠時間はどれくらい?

必要な睡眠時間には個人差がありますが、一般的には6〜8時間程度が目安とされています。

2002年にカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが、110万人を対象にして6年間の大規模な調査を行いました。これによると、睡眠時間が約7時間(6.5時間〜7.5時間)の人が最も死亡率が低く、長寿だったという調査結果が得られています。日本でも、名古屋大学が40歳〜79歳の男女約10万人に対して10年間の追跡調査を行った結果によれば、睡眠時間が約7時間の人たちが最も死亡率が低いことがわかりました。

これらの調査結果を見ても、一般的に健康を保ちやすい睡眠時間は約7時間程度と言えそうです。とはいえ、必要な睡眠時間は体質や性、年齢など個人的な要因に影響されるので、「日中に眠気が生じない程度に眠れていれば良い」というのが現在の通説となっています。反対に、日中に眠くなるようであれば、睡眠時間や睡眠の質が足りていないかもしれません。

今回は、ヨガが睡眠の質を高めてくれるという効果についてお話します!

心身に健康をもたらすヨガ

世界的な人気が続くヨガですが、国内でもヨガ人口が700万人を超え、ランニング人口に迫る人気ぶりを博しています。年齢や性別を問わず好まれ、特に女性を中心に参加者が増えているようです。

ヨガはさまざまなタイプ(ハタヨガ、ヴィンヤサヨガ、アシュタンガヨガなど)があります。いずれも主に心と体の両面にアプローチし、呼吸法や独特のポーズなどの身体的なエクササイズを通じて、精神的な集中と内省、リラックスなどに取り組む点で共通しています。ヨガによって心身の状態を改善し、自律神経を整えたり、生活の質を高めたりできるとされています。

これまで、ヨガのさまざまな身体上(姿勢、柔軟性、筋力、身体調整力、ダイエット効果など)、精神上(リラックス効果、ストレス緩和、集中力、うつ症状の改善など)の効果が期待されてきましたが、最近では、睡眠の質を高める効果が注目されています。

ヨガで心身も健康になり、睡眠の質も高められるなんて嬉しいですね!

ヨガが睡眠の質を高めてくれるって本当?

では、ヨガが睡眠の質を高めてくれるのは本当なのでしょうか。さまざまな論文から、その効果を検討してみましょう。

ヨガの睡眠効果は研究結果からも明らか

1832名の女性(29歳から71歳)を対象にした最近のメタ解析(複数の信頼できる研究結果を統合して再評価したもの)によると、さまざまなタイプを含むヨガに睡眠の質を改善する効果が認められました(Wang ら、2020年)。また、その効果は、閉経前の女性ではヨガに参加する時間が長いほど有効とされています。

妊娠中や出産前後の女性に起きやすい「うつ症状」や「不安症」の改善にヨガが有効だということは、以前から同様にメタ解析(Sheffieldら、2016年)で明らかにされています。この場合、7週間以上ヨガを実施するとより顕著な効果が見られたとのことです。

ヨガが睡眠の質を改善する効果を見た研究では、1回当たりの実施時間は45分から120分、1週間当たりの頻度は1回から5回、実施期間は1週間から24週間と幅広い(Wang ら、2020年)です。間をとって、1週間に3回の60分のヨガを10週間程度継続して行えば、効果がはっきりと見られるかもしれません。

月経前症候群(PMS)による睡眠障害にもヨガがおすすめ

月経前症候群を有する20歳から45歳の女性62名を対象にした研究(Ghaffarilalehら、2018年)では、1週間に3回、1回60分のヨガ(ハタヨガ)を10週間実施したグループで睡眠の質、睡眠潜時(入眠までにかかる時間)、睡眠効率(実際の睡眠時間÷ベッドにいた時間×100)が改善されたと示されています。

月経前症候群の症状に悩む女性では、睡眠障害を伴う場合が少なくありません。ヨガは、PMSによる睡眠障害の改善にも役立つことが期待されます。

ヨガは、女性のさまざまな睡眠障害を改善してくれることが期待できます!

まとめ

心身の健康状態を改善することが期待されるヨガですが、それにより睡眠の質も改善することが明らかになってきました。運動、栄養、睡眠が健康トライアングルの三大要素とすると、そのすべてに関わりのあるヨガは、健康的なライフスタイルにとって非常に有効だと言えます。さまざまなタイプのヨガがありますが、まずは身近なものから始め、自分にあったものを見つけてくださいね。

監修者プロフィール

彦井浩孝NPO法人チャレンジ・アスリート・ ファンデーション理事長
彦井浩孝NPO法人チャレンジ・アスリート・ ファンデーション理事長

スポーツ栄養学の観点からも、運動やスポーツにおけるマグネシウムの働きには注目すべきところが多くあります。にがりを水や飲料に薄めて使用することで、スポーツや運動を楽しむ方が日常から手軽に海からの自然なマグネシウムを摂取することができます。

【プロフィール】
オレゴン州立大学健康人間科学研究科博士課程修了。博士(Ph.D.)。NPO法人チャレンジ・アスリート・ファンデーション理事長。横浜市病院協会看護専門学校非常勤講師。
専門は運動生理学・栄養学・トレーニング学。トライアスロン歴32年。

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