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女性のための筋肉づくりに欠かせない脂質の摂り方とは?

筋トレを行うと全身が引き締まり、バランスがとれてくることから筋力トレーニングを行う女性が増えています。コロナ禍で増えたおうち時間を上手に利用して、筋力トレーニングを行う人も少なくありません。しかし、バランスよい筋肉をつくるためには、筋力トレーニングとたんぱく質の摂取だけでなく、脂質も摂取する必要があります。本記事では、女性の筋肉づくりの欠かせない脂質の摂り方について解説します。

筋トレをする女性は増えている!

筋力トレーニング(筋トレ)を積極的に行う女性が増えてきているようです。これまで、筋トレを行うと筋肉隆々になるイメージがあったため、敬遠する女性も少なくありませんでした。しかし最近では、筋トレを行うとむしろ筋肉が引き締まり、全身的にバランスが取れてくることに気づいた女性も多く見られます。

特にコロナ禍でおうち時間が増えたことから、自宅でもできる筋トレが人気となっているようです。また、筋トレを行うと、日常生活からの疲労軽減にも役立ち、体力の向上や骨の健康に一役買っていることもその人気の理由です。

筋トレには食事も重要

筋トレそのものだけでなく、食事やダイエットにも気を配る女性は多いです。筋肉増加の材料となるたんぱく質を食事から積極的に摂るよう心がけている人も少なくありません。その一方で、エネルギー(カロリー)の摂り過ぎによる体脂肪増加を懸念するあまり、エネルギー源である糖質や脂質を減らす傾向も見られます。

しかし、筋トレを実施する上では、日常生活に必要な分に加えて、トレーニングで費やすエネルギーの摂取も必要です。エネルギーが不足するとトレーニングの効果が減ってしまうばかりか、せっかく作り上げた筋肉を減少させてしまいかねません。

筋肉をつくるには脂質も必要

筋トレの効果を上げるためには、エネルギー不足にならないように心がける必要があります。また、「脂質=体脂肪」といったイメージから、脂質の豊富な食品を避けがちですが、脂質も必要なカロリーを供給してくれる栄養素です。しかも、案外知られていないことですが、脂質には筋肉の成長にとって必要不可欠な栄養的価値があります。

筋肉づくりに脂質が必要なのはなぜ?


筋肉の主な材料はたんぱく質であり、食事から摂った脂質が直接、筋肉を作ってくれるわけではありませんし、筋肉の材料になるわけでもありません。しかし、筋トレを行うとき、たんぱく質から筋肉が作られる過程でもエネルギーは必要です。糖質に加えて脂質がこれらのエネルギーを供給してくれるのです。

また、材料であるたんぱく質から筋肉を合成するためには、ビタミンやホルモンが必要になります。脂質は、食事から摂取した脂溶性ビタミンである、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、そしてビタミンKの体内への吸収を促します。逆に言えば、脂質不足はこれらのビタミンの吸収を抑えてしまうのです。それぞれのビタミンは、以下の役割を持っています。

ビタミンA

免疫機能、視覚、肌や粘膜の健康に必要なビタミンです。抗酸化作用があるため、トレーニングによって生じた酸化ストレスを軽減します。また、成長にも関連しているため、筋肉づくりにおいても必要です。

ビタミンD

骨の健康において重要な役割を担うビタミンで、筋肉の機能や成長、回復にも関連します。不足すると、筋肉減少症(サルコペニア)を引き起こしたり、運動パフォーマンスを低下させたりすることがあります(Starkey、2014年)。

ビタミンE

抗酸化ストレス作用をもつビタミンで、ビタミンE不足が老化に関連することが知られています。また、筋細胞の増殖分化や修復、筋量、筋収縮や筋力にも関連していると考えられています(Chungら、2018年)。

ビタミンK

骨の健康において重要な役割を担うビタミンです。筋細胞の増殖にも関連し、積極的な摂取が筋量や筋機能の改善に役立つことが知られています(Alonsoら、2022年)。

脂質は筋肉づくりに欠かせないホルモンの原料!


脂質は、筋肉の合成に欠かせないステロイドホルモンの原料になります。筋トレの後、このホルモンの働きなくして筋肉をつくることはできません。筋肉をつくるステロイドホルモンは、「たんぱく質同化作用」をもつテストステロンです。

テストステロンは代表的な男性ホルモンですが、男性ほど分泌量が多くないものの、女性でも体内で産生され、筋肉や骨の維持・増進に作用します。また、女性ではこのテストステロンから女性ホルモンであるエストロゲンが産生されますが、エストロゲンは生殖機能に関連するだけでなく、筋肉や骨の健康にも大きく関与していると考えられています。

このテストステロンの原料となるのがコレステロールです。コレステロールは主に脂質から産生される「アセチルCoA」という物質を出発原料として、体内で生合成されています。また、食事からも摂取することができます。

食物からのコレステロールのほとんどが動物性食品に含まれることもあって、コレステロールがダイエットや筋トレに対して悪いイメージでとらえられることも少なくありません。しかし、コレステロールはテストステロンやエストロゲンなどステロイドホルモンの生成に必要な栄養素です。

また、上述のビタミンA、D、EおよびKなど脂溶性ビタミンの代謝にも重要な役割を果たしています。たとえば、ビタミンDはコレステロールから変換され、紫外線によって生成されます。

脂質を制限するとテストステロン濃度が下がる?

これまでの研究によると、食事からの脂質摂取量を制限すると血中のテストステロン濃度が低下することが報告されています(Helmsら、2014年)。また、最近の研究でも、低脂肪食を摂ったグループでは、高脂肪食を摂ったグループより有意にテストステロン濃度が低かったことが示されています(WhittakerとWu、2021年)。

女性ホルモンであるエストロゲンはテストステロン同様にコレステロールから合成され、その働きは生殖機能に関わるだけでなく、筋肉の働きにも関わっています。閉経後の女性では、筋量や筋力の低下、骨密度の低下が見られますが、これにはエストロゲンの減少が影響しているようです(Ikedaら、2019年)。

一方、筋肉づくりには必要不可欠なテストステロンは、筋トレを行うことで、男女ともに増加することがわかっています(Vingrenら、2010年)。

どんな種類の「脂質」をどれぐらい摂ればいい?

筋トレをハードに行うアスリートであっても、筋肉づくりを楽しむ女性であっても、あるいは運動習慣を持たない人であっても、総カロリー摂取量の20~30%程度は脂質を摂取するのが適切です。もし、毎日、2300kcal前後のカロリーを摂取する必要のある女性(活動レベルが高い18歳から64歳)では、50~78グラム程度の脂質を日々摂取するとよいでしょう(Helmsら、2014年)。

脂質の種類

ほとんどの食品には脂質が含まれていると言えますが、その脂質は主に不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸に分類されます。

不飽和脂肪酸は植物油や魚類に含まれることが多く、この中には健康上必須とされる脂肪酸(必須脂肪酸)も含まれます。必須脂肪酸は体内で合成されず、心疾患や2型糖尿病のリスクと関連があるため摂取不足にならないよう気をつけましょう。特に、オメガ3脂肪酸と呼ばれる不飽和脂肪酸(α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA))は脳機能や細胞の成長にも欠かせない脂肪酸であり、筋肉づくりにも必要です。

一方、飽和脂肪酸は、肉類や乳製品など動物性の食品に多く含まれており、体内でも合成されます。心臓循環器疾患の危険因子とされており、摂取に関しては総カロリー摂取量の7%以下に抑えるよう目標量(18歳以上の女性)が設けられています(日本人の食事摂取基準(2020年版))。

これまでの研究によれば、実験的に不飽和脂肪酸か飽和脂肪酸のどちらかを意図的に摂取し体重を増加させた被験者では、不飽和脂肪酸を摂取したほうが筋量による体重増加が顕著であったことが示されています(Rosqvistら、2014年)。

筋肉づくりのために摂るとよい「脂質」が豊富な食品

では、筋肉づくりのためにどんな脂質を摂取すればよいのでしょうか。最後に、筋肉づくりにおすすめな脂質を多く含む食品をご紹介します。

魚類や卵、ナッツ類がおすすめ

卵は、筋肉づくりのためのパーフェクトな食品の一つとされています。卵の卵白には良質なたんぱく質が含まれ、たんぱく質を構成する必須アミノ酸のバランスを示すアミノ酸スコアが100%の食品です。卵黄にはコレステロールが多く含まれ、食品から摂取するコレステロールは主に卵からのものが多いことから、卵の摂取を控えることが健康上、有効であると考えられていましたが、筋肉づくりのためには卵黄も必要です。

筋肉増加のために、たんぱく質の豊富な卵白のみを摂る向きもあります。しかし、これまでの研究では、筋トレ後に卵白だけよりも卵全部を摂ったほうが、筋肉のたんぱく質合成に有効であることが示されています(van Vlietら、2017年)。

また、鮭やサバ、ニシンなどの魚類にはオメガ3脂肪酸が多く含まれています。オメガ3脂肪酸の摂取によって、たんぱく質の同化作用が高まる可能性が示唆されています(Smithら、2012年)。アボカドや、アーモンド、ピーナッツなどのナッツ類にも多くの不飽和脂肪酸が含まれており、筋肉づくりに役立ちそうです。

肉類は控えて

肉類やハム、ウインナーなどの加工肉、バターなどには飽和脂肪酸が多く含まれることから、筋肉づくりのためだけでなく健康維持のためにも摂取を控えめにしたほうがよさそうです。

まとめ

筋肉づくりのために、脂質は必須と言えるでしょう。筋肉づくりと言うとたんぱく質の摂取ばかりに意識が向きがちですが、脂質の働きにも目を向けることで、これまで以上に筋トレの成果を得ることができるはずです。ぜひ今一度、食生活を見直してみてはいかがでしょうか。

監修者プロフィール

彦井浩孝NPO法人チャレンジ・アスリート・ ファンデーション理事長
彦井浩孝NPO法人チャレンジ・アスリート・ ファンデーション理事長

スポーツ栄養学の観点からも、運動やスポーツにおけるマグネシウムの働きには注目すべきところが多くあります。にがりを水や飲料に薄めて使用することで、スポーツや運動を楽しむ方が日常から手軽に海からの自然なマグネシウムを摂取することができます。

【プロフィール】
オレゴン州立大学健康人間科学研究科博士課程修了。博士(Ph.D.)。NPO法人チャレンジ・アスリート・ファンデーション理事長。横浜市病院協会看護専門学校非常勤講師。
専門は運動生理学・栄養学・トレーニング学。トライアスロン歴32年。

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