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味覚障害だけではない!亜鉛不足は免疫力の低下にも繋がる!?

私たちの身体では、三大栄養素と呼ばれる身体の材料やエネルギーのほか、ビタミンやミネラルといった微量な栄養素が働いて健康な状態を保っています。中でもミネラルの一種である「亜鉛」は、不足すると味覚障害を引き起こす重要な栄養素としてよく知られていますが、近年の研究で、亜鉛不足は免疫力の低下にも関わることがわかってきました。

日本人は「亜鉛欠乏症状態」だった!?

厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準 2020年版」では、1日あたりの亜鉛の平均摂取推奨量は成人男性で11mg、成人女性で8mgとされています。しかし、日本人の実際の1日あたりの平均亜鉛摂取量は、成人男性で9.3mg、成人女性で7.6mg厚生労働省「国民健康・栄養調査(平成30年)」)です。

つまり、日本人は男性で1.7mg、女性で0.4mgほど亜鉛が足りない状態だと言えるでしょう。日本は先進国で唯一、10〜30%の人が亜鉛欠乏症状態であるとの調査結果もあります。

亜鉛不足の原因

日本人が亜鉛不足に陥りやすい主な原因の一つは、その食生活にあると考えられます。

  • ・肉類や乳製品をよく口にする欧米食に比べて、和食は全体的に亜鉛の含有量が少ない
  • ・現代の日本人は外食が多く、加工食品やインスタント食品で栄養が偏りがち
  • ・加工食品には、ポリリン酸ナトリウムやリン酸塩など、亜鉛を体外へ排出する作用のある添加物が多い

つまり、昔ながらの和食に亜鉛の含有量が少ないということに加え、摂取したわずかな亜鉛も加工食品に含まれる添加物で排出されてしまっている、と考えられるのです。

亜鉛ってどんな栄養素?意外に知られていない免疫力との関係

では、亜鉛とは具体的にどんな栄養素なのでしょうか。免疫力との関係についても見ていきましょう。

亜鉛は体内で300種類もの酵素の働きを助ける!

亜鉛は体内に2g程度しか存在していませんが、300種類以上の酵素の働きに欠かせない重要なミネラルです。主に骨や肝臓、腎臓、筋肉、皮膚に存在し、以下のような働きをしています。

  • ・タンパク質の合成や細胞のDNAの複製、細胞の新陳代謝を促す
  • ・味を感じる「味蕾」の新陳代謝に欠かせない
  • ・肌・髪を若々しく保つ
  • 免疫細胞の働きを助ける(免疫力を高める)
  • ・活性酸素を除去する酵素の働きを助ける
  • ・記憶力を高めたり、精神を安定させたりする
  • ・男性生殖機能を正常に維持する

亜鉛が不足すると、味覚障害や肌の炎症・脱毛や男性の性機能障害、女性の月経不順、記憶力低下やイライラ、免疫機能の低下につながってしまいます。

亜鉛不足が免疫力を低下させてしまうのはなぜ?

亜鉛は体内に入り込んだ異物、ウイルス、細菌などを駆除してくれる「免疫細胞」をサポートする役割があります。人間の身体に備わっている免疫機能には、大きく分けて「自然免疫」と「獲得免疫」があり、それぞれ以下のような働きをしています。

自然免疫…病原体を「食べて」やっつける。好中球・マクロファージ・NK細胞(ナチュラルキラー細胞)などの細胞が働く
獲得免疫…ある特定の病原体に対して有効な攻撃方法を細胞が覚え、抗体を作ったり直接攻撃したりする。T細胞、B細胞などが働く

亜鉛はこのどちらの免疫機能においても、メインで働く細胞が正常に成長し、機能するようになるまでの過程で欠かせないミネラルです。さらに、亜鉛は活性酸素を除去する酵素の働きを助けることもわかってきました。つまり、亜鉛が不足すると免疫機能や抗酸化作用が正常に働かなくなってしまうのです。

亜鉛を多く含む食材やサプリで、効率的に摂取しよう

このように、非常に重要なミネラルの一つである亜鉛が体内で不足しないようにするためには、亜鉛をもともと多く含む食材を摂取したり、サプリメントなどの健康食品で効率的に摂取したりする工夫が必要です。

亜鉛を多く含む食材ってどんなもの?

亜鉛は体内で作ることができませんので、必ず食事などから摂取しなくてはなりません。しかも、亜鉛の吸収量は、摂取した亜鉛の約20〜40%とかなり低い割合です。そこで、亜鉛の多い食材を知り、効率よく美味しく摂取する工夫をしていきましょう。

  • <主な食品の亜鉛含有量>
  • 牡蠣(60g)  7.9mg
  • 豚レバー(70g)  4.8mg
  • 牛肩肉(赤身肉70g)  4.0mg
  • 牛もも肉(70g)  2.8mg

亜鉛含有量が多い食材としてよく知られている牡蠣は、実際にその含有量を見ても納得の多さです。また、主な食肉である豚・牛・鶏のレバーにも多く含まれていますので、ぜひ日々の食事に取り入れましょう。

一方、植物性食品に多く含まれる食物繊維やフィチン酸は、亜鉛の吸収を妨げます。また、アルコールを飲むと亜鉛の排出量が増加します。亜鉛の多い食品を摂取するときは、植物性食品と同時に摂取するのを避けたり、アルコールを控えたりするとより効率的です。

サプリメントや飲料からの摂取もおすすめ

とはいえ、牡蠣やレバーは毎日摂取できる食材ではなく、人によっては好き嫌いが分かれます。牡蠣やレバーにあたったり、アレルギーになったりする人も少なくありません。そういった人は、ぜひ栄養機能食品のサプリメントや飲料などで効率的に摂取していきましょう。

ただし、サプリメントなどで摂取する場合は過剰摂取になることもあるので注意が必要です。亜鉛の耐容上限量は18~29歳の男性で40mg、30~64歳の男性で45mg、65歳以上の男性で40mg、18歳以上の女性で35mg、70歳以上の女性で30mgと設定されています(「食事摂取基準 2020年版」)ので、摂取しすぎないよう心がけましょう。

まとめ

日本人は慢性的な亜鉛不足に陥っているとされていますが、亜鉛は体内の酵素反応に欠かせないミネラルで、味覚や生殖機能のほか、免疫機能を正常に保つ働きもあります。亜鉛の多い食材を日常的に摂取するのは難しいので、サプリメントや飲料を利用して上手に摂取しましょう。

監修者プロフィール

彦井浩孝NPO法人チャレンジ・アスリート・ ファンデーション理事長
彦井浩孝NPO法人チャレンジ・アスリート・ ファンデーション理事長

スポーツ栄養学の観点からも、運動やスポーツにおけるマグネシウムの働きには注目すべきところが多くあります。にがりを水や飲料に薄めて使用することで、スポーツや運動を楽しむ方が日常から手軽に海からの自然なマグネシウムを摂取することができます。

【プロフィール】
オレゴン州立大学健康人間科学研究科博士課程修了。博士(Ph.D.)。NPO法人チャレンジ・アスリート・ファンデーション理事長。横浜市病院協会看護専門学校非常勤講師。
専門は運動生理学・栄養学・トレーニング学。トライアスロン歴32年。

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