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ランニング時の適切な水分補給とは? 【熱中症予防&運動パフォーマンス維持】

ランニングのパフォーマンスを維持したり熱中症を予防するために欠かせない水分補給。今回は、その目的や上手な水分補給方法について解説します。ぜひご覧ください。

ランニングのパフォーマンスを維持したり、熱中症を予防するためにも欠かせない“水分補給”ですが、何を、いつ、どのくらい飲めばよいのかなど分からないことも多いですよね。
今回は、東京大学陸上運動部コーチで運動生理学がご専門の竹井尚也さんに、水分補給の目的と上手な水分補給方法について教えてもらいました。

深層1:水分補給を甘くみると命の危険も!

出典:2018年10月25日 消防庁報道資料より作成

人間は “汗”をかくことで体温の上がりすぎを防いでいます。汗は蒸発するときに体の熱を奪うので、自然と体温が下がるのです(気化熱の原理)。

しかし、日本の夏のような高温多湿の環境では大量の汗をかくにも関わらず、なかなか汗が蒸発しません。この状態が続くと、水分を大量に失い運動パフォーマンスが低下したり、脱水や熱中症などの命に関わる症状に見舞われることもあるのです。

では、人間は運動によってどのくらいの水分を失うのでしょう。
個人差はありますが、その量は暑い時期に2時間程度の激しい運動した場合で2L以上になると考えられています。これは、体重60kgの人だったら体重の3%以上にもあたる量。

一般的に、体重の3%以上の水分を失うと運動パフォーマンスが低下するほか、汗が出にくくなるため、上がった体温を下げられない危険な状態に陥るといわれています。体を脱水状態におかないために、暑い季節はもちろん心地よく感じる季節も油断せずに水分補給を行うことが大切なのです。

運動によってどのくらいの水分を失っているのかは、運動前後に体重を測定し下の計算式に当てはめることでおおよその数値を知ることができます。暑い環境で安全に運動するためには、運動後の脱水率が2%未満となるように給水をすることが推奨されています。

【計算式】
脱水率(%)=体重の減少量(kg)/運動直前の体重(kg)×100


深層2:カラダは汗と一緒にミネラルも失う

それなら、脱水を防ぐためにこまめに水を飲もう!と思われるかもしれません。しかし、残念ながらそれだけでは足りません。私たちは汗と一緒にナトリウム・カリウム・マグネシウムなどのミネラルも失っているからです。下の図は、大量の汗をかいた際に水だけを補給した場合の体の状態を表しています。

運動前に適切な量と濃さだった体液(①)は、運動後には水分が多く失われることで濃縮された状態(水分とミネラルのバランスが崩れた状態)になります(②)。

このとき、水のみを補給すると③のように、適切な体液の濃さになった時点でのどの渇きはおさまります。しかし、体液の全体の量が元に戻ったわけではないので、体はまだ脱水状態にあるといえます(自発的脱水)。この状態で運動を再開すると、通常よりも少ない発汗量でより深刻な脱水状態に陥ることがあります。

③の状態から、さらに水だけを大量に飲んだ場合はどうなるでしょう。この場合、④のように体液が過剰に薄められてしまいます。この状態は、低ナトリウム血症(別名:水中毒)とも言われ、ひどい場合は頭痛やめまい、意識障害などを引き起こすこともあります。汗をかいたときは、水分と一緒にミネラルも摂り、体の中のミネラルと水分のバランスを保つことがとても大切なのです。

☆ミネラルの働きを知ろう☆

■マグネシウム

リンやカルシウムとともに骨を形成するほか、体内のさまざまな代謝を助けます。
300種類以上の酵素を活性化する働きがあり、筋肉の収縮や神経情報の伝達、体温・血圧の調整にも役立っています。

■カリウム

細胞内液の浸透圧を調節して一定に保つ働きがあります。また、神経の興奮性や筋肉の収縮に関わっており、体液のpHバランスを保つ役割も果たしています。

■ナトリウム

ほとんどが細胞の外の体液(細胞外液)に含まれ、細胞外液の浸透圧を調節して、細胞外液量を保つなどの役割を持っています。

出典:厚生労働省 e-ヘルスネットより作成

深層3:上手な水分補給方法を知ろう

水分補給の大切さが分かってきたところで、続いては実際にどのように水分補給をすればよいのか、“上手な水分補給方法”について解説します。ぜひ普段のランニングに取り入れてみてくださいね。

ミネラルの多い飲料を選ぶ

先ほどもお話ししましたが、運動時はミネラルも補給することが大切です。その点、スポーツドリンクや熱中症対策飲料は汗で失うミネラルを効率的に補給できるように調整されており、運動時の水分補給に適しているといえます。

しかし、これらはエネルギーも同時に補うことを目的としているため糖質が多くカロリーが高いという落とし穴も。体型の維持やダイエットを目的にランニングをされている方にとっては大きな問題ですよね。ミネラルは摂りたいけれど、糖質は摂りすぎたくない!という方には、次のような手作りのオリジナルウォーターをおすすめしています。

☆オリジナルウォーターの作り方☆

ミネラルが豊富な水・飲料(海洋深層水★、ミネラルウォーター、麦茶など)1Lに食塩をひとつまみ(約1~2g)入れる。
※食塩濃度は0.1〜0.2%が望ましく、食塩の味はほとんど感じません。
★一般的な海洋深層水飲料を示しています。

ランニング1時間あたり400ml〜800ml飲む

体格や環境、運動の激しさなどによっても異なりますが、継続して運動を行う場合1時間あたりに400ml〜800mlの水分を補給することが望ましい※と考えられています。

1時間に3〜4回、一度の給水で2~4口程度(100ml〜200ml)と覚えておくとよいでしょう。脱水率を2%以下に抑えることで、パフォーマンスの維持や熱中症予防に効果的です。
一度に大量に飲みすぎてしまうと、水分が胃に溜まり腹痛を起こすことがあるので注意してくださいね。
※1時間あたり、1L〜2L(発汗相当量)が推奨される場合もありますが、動きの激しいスポーツ中にはこれだけの量を補給することは難しいです。

まとめ

水分補給の大切さと上手な水分補給の方法がお分かりになったでしょうか。とくにこれからの暑い季節は、知らず知らずのうちに水分を失ってしまうことが多いもの。しっかりと水分補給してランニングライフを楽しんでくださいね。

監修者プロフィール

竹井尚也東京大学陸上運動部コーチ
竹井尚也東京大学陸上運動部コーチ

運動生理学を専門とし、科学的根拠に基づくトレーニング理論で箱根駅伝出走ランナーなど数々の選手の運動指導を行う。

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