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豆腐の由来はどこから?なぜ腐っていないのに「腐る」と書くの?

低カロリーなダイエット食としても、栄養満点の健康食としても親しまれている豆腐。しかし、豆腐の由来を知っている人は少ないのではないでしょうか。豆腐はなぜ「豆腐」と書かれるようになったのか、また、どのように伝わってきて日本で浸透していったのでしょうか。本記事では、豆腐がなぜ「豆腐」と書くようになったのか、豆腐の歴史などを詳しくご紹介します。

豆腐の名前の由来は?

豆腐は腐っていないのに「豆腐」と書くのはなぜなのでしょうか。それは、豆腐が中国から伝わった食べ物であることに由来します。中国では「腐」という漢字に「ぶよぶよと柔らかいもの(液体に近い個体)」の意味があり、これが豆腐(やわらかい豆)の名前に使われたのです。

そもそも「腐」のかんむりである「府」には「くら」という意味があったため、もともとは「庫」をかんむりにしていました。「腐」とは、捕った獣の肉を庫に入れて保存しておく状態を表した字です。始めは死後硬直で固くなっていた肉が、食べられるくらいにだんだん柔らかくなってくることから、ぶよぶよと柔らかいものを指すようになりました。

ちなみに、中国から伝わる際に「豆腐」と「納豆」の名前が入れ替わったのだ、という説がありますが、これは単なる俗説です。ここまでご紹介してきたように、豆腐は中国でも豆腐と書き表します

冷奴などの「やっこ」の意味とは?

冷奴などでは豆腐のことを「やっこ」と呼びます。これは江戸時代に、大名行列の先頭で槍を振るっていた「奴」さんの紋からとったという説が有力です。奴さんの紋は方形をしていたため、豆腐を四角く切ることを「奴に切る」と言っていたのですが、それがやがて豆腐そのものを表すようになりました

他にも、冷奴は冷たい豆腐なため、「冷ややか」「冷やっこい」が訛ったのだという節もあります。「冷ややか豆腐」「冷やっこい豆腐」という言い方から「ひややっこ」と訛り、やがて「やっこ」が豆腐そのものを指すようになったというものです。

豆腐の歴史

ここでは、豆腐の歴史についてご紹介します。

豆腐の発祥

豆腐発祥の地は中国とされています。起源は紀元前2世紀、前漢の淮南王・劉安が創作したとする説がありますが、この時代の中国にはまだ豆腐の原料となる大豆が存在しなかったことから、この説は疑問視されています。

その後、唐(618~907年)の時代以降に豆腐のことが書かれた文献が現れます。そのため、この時代ごろが起源なのではないかという説が有力です。少なくとも、唐の中期ごろには豆腐が作られていたと考えられています。

日本に伝わったのはいつ?

豆腐が日本に伝わったのは、奈良時代(710〜784年)ごろで、中国に渡った遣唐使の僧侶などが日本に持ち帰ってきたのだとされていますが、はっきりとした記録があるわけではありません。豆腐が記録に登場するのは、寿永2年(1183年)、奈良春日大社の神主の日記からです。このとき、お供え物として「春近唐符一種」と記されており、 この「唐符」が「豆腐」のことだとされています。

そのため、日本で豆腐がつくられ始めたのは、奈良〜平安時代と言えそうです。当初は寺院の僧侶等の間で、次いで精進料理の普及等にともない貴族社会や武家社会に伝わり、室町時代(1393~1572年)になって、ようやく全国的にもかなり浸透したとされています。製造方法も奈良から京都へ、そして全国へと伝わっていきました。

また、別のルートで朝鮮から土佐へ技法が伝えられたという説もあります。この豆腐は中国伝来のものと比べて固いのが特徴です。土佐の豆腐も固いため、この地方の豆腐はこれが由来なのではないかとも言われています。

庶民の食べ物へ

豆腐が本格的に庶民の食べ物になり始めたのは、江戸時代からです。江戸初期にはまだ豆腐は特別な日の食べ物で、農民にとっては非常に贅沢品でした。祭りやお盆、お正月、あるいは冠婚葬祭などの特別の日(ハレの日)にだけ豆腐料理が出されていたと言われています。

そんな中、江戸中期の天明2年(1782年)に刊行された豆腐料理の本「豆腐百珍」が爆発的な人気を呼び、一気に豆腐料理が広まったとされています。翌年には「豆腐百珍続編」、翌々年「豆腐百珍余禄」が出版され、当時の料理本ブームにも一役買ったようです。

名前の割に賞味期限は短い!?

豆腐は名前から発酵食品のようなイメージがあり、賞味期限が長いと思いがちですが、実はそれほど長くありません。数日でも過ぎてしまうと味が損なわれてしまうため、注意が必要です。腐っているかどうかは、以下の方法でチェックしましょう。

  • <見た目>
  • ・パックが膨らんでいる
  • ・中の水が黄色い
  • ・豆腐そのものが変色している
  • <味>
  • ・酸っぱいと感じる
  • ・豆腐の味がしない
  • <その他>
  • ・酸っぱい臭いがする
  • ・表面にぬめりがある
  • ・糸を引いている

上記のような状態の豆腐は、味だけでなく品質も悪化している可能性が高いです。特に、酸っぱい匂いがしたり糸を引いていたりする場合は、腐っている可能性もありますので、食べるのは避けておきましょう。

まとめ

豆腐は中国から伝わったもので、「腐っている」という意味ではなく、「ぶよぶよと柔らかい個体である」という意味です。豆腐は中国でも豆腐と書くため、納豆と入れ替わったのだという俗説に根拠はありません。日本に伝わってきたのは奈良時代で、精進料理の普及とともに広まり、江戸時代には庶民の食卓にも並ぶようになりました。現在ではダイエット食としても健康食品としても親しまれている豆腐ですが、食べる際に歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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