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妊娠中の女性にもヨガがおすすめ!研究結果から見る効果と注意点をご紹介

ダイエットにも自律神経を整えるためにも良いとして、女性に人気の高いヨガ。激しい運動とは異なり、呼吸法とポーズを中心としているため、初心者でも簡単に始めやすいのが特徴です。筋肉を気持ちよくストレッチできるヨガは、妊娠中の女性にもおすすめ。今回は、ヨガが妊娠中の女性にもおすすめな理由を研究結果から見ていきましょう。注意点もご紹介していますので、合わせてチェックしてくださいね。

妊婦

妊娠中の運動は、どのくらいすればいいの?

妊娠中は完全に安静にするのではなく、適度に運動する方がママの心身の健康に良いとされています。では、どのくらい運動すれば良いのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

妊娠中、女性はアクティブに過ごしてもいい?

女性にとっての妊娠は、健康習慣を見直す上でも非常に良い機会だと言えます。主治医の判断にもよりますが、基本的に妊娠中の女性は心身ともにアクティブに過ごして構いません

特に、妊娠中の身体活動(運動)としては以下のようなものがおすすめです。

  • ・ウォーキングやスイミングなどのような有酸素運動
  • ・適切な負荷を用いた筋力トレーニング
  • ・ヨガやピラティス、ストレッチングのような柔軟性を高める運動

妊娠中の運動量はどのくらいにすべき?

運動量は一般の女性と同様、週に150分以上が効果的とされています。ただし、妊娠前に運動習慣があったかどうか、現在の体力、妊娠期や健康状態、体型の変化などによって、運動量や運動方法を調整することも必要です。

例えば、妊娠前に全く運動習慣がなかった人が、妊娠したからと突然何時間も運動すると体調を崩したり、怪我をしたりするリスクがあります。こうした場合には、主治医と相談しながら徐々に運動習慣を作っていきましょう。

「妊娠中の運動量は人それぞれ。体調に合わせて行いましょう!」

妊娠中に運動した方がいいのはなぜ?

妊娠中の運動は、出産に備えた体力づくりにもなります。現在の体力を維持し、さらに高めるほか、体重管理(増えすぎ防止)にも有効です。

運動は、妊娠・出産に伴う健康問題(妊娠糖尿病など)を予防するためにも効果的です。さらに、妊娠中に起こりがちなうつや不安などの精神的な症状を緩和することにも役立つため、心身の健康に良いことずくめなのです。

ヨガは妊娠中の女性にも人気

女性を中心に人気の高いヨガは、妊娠中の女性にもやはり人気です。妊娠中にヨガを行うことがどのような効果をもたらすのか、データを交えて見ていきましょう。

女性に人気のヨガ。その効果は?

ヨガは瞑想法でもあり、身体だけでなく精神を整え、リラックスするために有効です。精神的な解放感・安堵感、心のバランスの獲得などにも役立ちます。妊娠中の女性にとっては、妊娠に伴う不安定な心理状態を改善する効果が期待できるでしょう。

ヨガそのものの運動強度やエネルギー消費量は大きくなく、約3メッツ(散歩程度の強度)程度であることがわかっています(Larson-Meyer、2016年)。妊娠中の女性を対象にしたヨガの場合、さらに運動強度やエネルギー消費量が抑えられた(約1.5メッツ、約109kcal/時間)ものを行うのが一般的です(PetersとSchlaff、2016年)。

妊娠中の女性とヨガについてのデータ

最近のメタ解析によると、ヨガは分娩を良好なものにし、早産を予防したり、分娩時間を短縮させたりといった補完療法的な役割を持っていることがわかりました(Rongら、2020年)。なお、メタ解析とは「複数の信頼できる研究結果を統合して再評価したもの」のことです。

例えば、週2回のハタヨガ(75分/回)を妊娠26~37週の期間で実施したケースでは、誘発分娩の必要性が減り、分娩時間が短縮され、新生児の出生体重や在胎期間が適切に維持されたという報告があります(Yekefallarら、2021年)。

さらに、48人の妊娠中の女性を対象とし、妊娠30~37週の期間にヨガを実施した結果、深刻な心配や不安を持っていた割合が約44%、中程度の心配や不安を持っていた割合が約23%減少しました(Varonicaら、2020年)。しかも、まったく心配や不安を持たない女性は約15%増加したのです。

このように、妊娠中の女性にとってヨガを行うことは、精神衛生上の利点があるほか、分娩や胎児の発育を良好にする可能性があると示唆されています。

「ヨガはママの心に良いだけでなく、出産や赤ちゃんの健康にも良い効果をもたらしてくれそうですね!」

妊娠中にヨガを行う際の注意点

妊娠中にヨガを行うときは、以下の点に注意しましょう。

  • ・妊娠中の女性が運動を行う際の一般的な注意事項について、主治医に相談する
  • ・ヨガのポーズには、妊娠中は控えるべきポーズ(仰向け、うつ伏せ)もあるので注意する
  • ・妊娠中は脱水や熱中症を招きやすいので、「ホットヨガ」のように暑く湿度の高い室内で行うものは避ける
  • ・体調に少しでも異変を感じたら運動を中止し、主治医の診断を仰ぐ

「ヨガも運動の一つ。無理はせず、主治医の注意を守って安全に行いましょう!」

ヨガで健康的に妊娠中のストレスを改善しよう

コロナ禍の昨今、ただでさえ妊娠中にストレスを感じやすい女性にとっては、ウイルス感染という深刻な脅威がさらなるストレスとなりやすいです。感染症予防対策による外出機会の減少が、妊婦の身体活動の著しい制限となり、健康問題を引き起こす可能性も考えられます。

最近の研究では、人との距離をとって自宅でも行えるヨガは、ストレスの緩和や身体活動不足の改善に有効だと述べられています(Nadholtaら。2020年)。今だ収束の兆しが見えない現在のコロナ禍では、妊娠中の女性にとってヨガが非常に身近、かつ取り組みやすい身体活動の一つになるのではないかと注目を集めています。

まとめ

妊娠中でも、女性は心身ともにアクティブに過ごすのがおすすめ。運動量も一般女性と同じように、週に150分の運動が目安です。妊娠中のヨガは精神衛生を保ってくれるだけでなく、分娩や胎児の発育にも良い効果が期待できます。

妊娠中はただでさえストレスを抱えやすいものですが、コロナ禍でさらなるストレスの影響を受けやすい昨今、ヨガは心身の健康維持に効果的です。主治医の注意を守り、安全にヨガを行いましょう。

監修者プロフィール

彦井浩孝NPO法人チャレンジ・アスリート・ ファンデーション理事長
彦井浩孝NPO法人チャレンジ・アスリート・ ファンデーション理事長

スポーツ栄養学の観点からも、運動やスポーツにおけるマグネシウムの働きには注目すべきところが多くあります。にがりを水や飲料に薄めて使用することで、スポーツや運動を楽しむ方が日常から手軽に海からの自然なマグネシウムを摂取することができます。

【プロフィール】
オレゴン州立大学健康人間科学研究科博士課程修了。博士(Ph.D.)。NPO法人チャレンジ・アスリート・ファンデーション理事長。横浜市病院協会看護専門学校非常勤講師。
専門は運動生理学・栄養学・トレーニング学。トライアスロン歴32年。

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